東方的専制君主V

ローマトータルウォーTotal Realism Mod パルティア王国プレイリポート

本リプレイ(?)はTotal Realism Mod Ver6.3でお届けしております。



東方キャラが支配する専制国家というコンセプト…
レミリアお嬢様はバクトリアを倒し、次の敵と対決のご様子…
この先一体どうなるやら・・・・・
(注:プレイ自体は本物ですが、基本はネタです。そのつもりでよろしくお願いします。)


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紀元前257年
パルティア王宮にて



スカーレットデビル レミリア・スカーレット
「セレウコス朝シリアは、うちの庭に土足で踏み込んできたわ。
しかも、バクトリアとか言う二等国家を救うとか、訳のわからないことを喚いてる…。
これは教育が必要よね……。」


火+水+木+金+土+日+月を操る魔女 パチュリー・ノーレッジ
「犬には、狗の教育がね…。
とりあえず、宣戦布告はもう済んでいるから、あとは命令一つで動けるわ。」


紅魔館のメイド長 十六夜 咲夜
「でしたらお嬢様、とりあえずバクトリアにいる、私の軍勢を呼び戻しましょうか?」


「それには及ばないわ、咲夜。
首都付近の手勢だけで十分…。
それに私自ら出向いてあげなきゃ失礼よ……。」


「かしこまりました。
でしたら、私の軍勢は南下すべきでしょうか?」


「そうね、それがいいわ。
私とパチェは、来たやつを丁重にもてなすわ、
だから、咲夜は相手の屋敷に訪問してきてちょうだい。
しっかり、お礼を言うのよ……。」


「お任せ下さい、お嬢様。」









「舞台は整ったわ。
中国、出撃するわよ…。」


華人小娘 中国
「いよいよ、超大国との戦いなんですね……。」


「あら、彼らは自称超大国……。
だって、私たちは一度もセレウコスの事をそんな風に呼んだことはないもの…。」


「確かに……。
咲夜さん、ひとたびあの超大国を屈服させたら、レミリアお嬢様はどうなさるおつもりなのでしょう?」


「それは、愚問ね…ひとたび彼らを屈服させたのなら、あの広大な土地はお嬢様のもの…
やがて、オリエント全体がお嬢様のものになるのは、時間の問題よね…。」


「オ…オリエントを征服したあとは、どうするおつもりなのでしょう……?」


「オリエントを征服した後は、エーゲ海を挟んで、ギリシアが目前よ…。
豊かで人口も多いあの土地を、見過ごすという手はないでしょうねぇ……。
それに、お嬢様のことだし…簡単に征服されるでしょうね。」


「た、確かにきっと、簡単に征服なさりますよね……。
それで、この旅も終劇でしょうか…?」


「折角運命が恵んで下さったものを、より大きな事業の基盤に据えるのが、
私達にできることではなくて?
それに、そこまで来れば、イタリアやカルタゴが完全に視界内に入るわ……
アレクサンダーや、アガトクレスに可能だったことがお嬢様には不可能かしら?」


「お嬢様なら、可能だと思われますけど……。
その後はどうするのでしょうか……?」


「そうね、きっとお嬢様のことだから、紅茶でも召し上がりながら、
幾つかの思い出を、パチュリー様や私、そしてあなたと
テラスで語ったりするんじゃないかしら?」


「…………今…、ティータイムではいけないのでしょうか?
誰も咎めたりはしないでしょうし、今だって愉しく思い出す戦いが無かったわけでも……
なにもこれから、さらに多くの敵を倒したり、危険を犯さなくても………。」


「あなたは、何か勘違いをしているのではなくて?
主が他人から馬鹿にされたのなら、それを憤慨するのが従者ではなくて?」


「た、確かに……。
そうですが……。」


「いいこと、これはそういう問題なのよ。
それと、一つ質問…。
さっきのあなたの言葉、お嬢様には言ったのかしら?」


「いえ……。
言ってませんよ。」


「そうねよ。
そうでなかったら、あなたは痛覚の限界に挑戦した事になるものね……。
だから、あの言葉はお嬢様の前では慎むことをお勧めするわ。」


「き、肝に銘じておきます……。」


「それがいいわ…。」


紀元前259年 冬
パルティア首都にて



「私のかわいいあなた達……。
行くわよ……。」


勝敗は短時間で決した。
レミリア直属の部隊に敵が翻弄されている間に
パチュリーの援軍が到着し、
敵は挟み撃ちに遭い
あえなく敗走していったのであった…







「追わなくていいのね?」


「その必要はないわ…。
どうせ、敵は分散してるもの…。
このさい、適当に合流してくれた方が好都合よ…。」


「バラバラに散っていって、うちの庭でゲリラ活動でもされたら、厄介だしね…。」





紀元前258年 夏
パルティア首都近郊



「予想通り……。」


「敵は適当に集まってくれたわね…。」




「さて…丘の向こうに、烏合の衆がいるわ…。
血祭りにしてあげなさい。」



騎兵隊一同 「サー、イエッサー!!」


「勝てる算段は、もう済んでるわ……。
あとは解を出すだけよ……。」


「一斉射撃…。」


パルティア軍援軍の到着と、
猛烈な弾幕に耐えられずに、敵は撤退を始めた…


「追撃ね……。」


「当然!!!
どうせ、やつらは逃げることしか知らない!」



もはや、それは戦闘ではなかった
記録者はそれを虐殺であり屠殺であったと言う…


「…………。
案外損害がでる…。
素人が多いせいね……。


「仕方ないわ。
うちのメイドみたいに鍛えてあるわけじゃぁないものねぇ……」


「ところで、レミィ。
セレウコスの使者が来てるそうよ……。
会ってみる?」


「あら?
停戦の使者なのかしら……。」




「あら、流石超大国ね…。
バクトリアよりは気が利いてるわ…。」


「攻撃をやめよ…。
然からば攻撃す…。
ふーん…。」


「何かのギャグかしら?
ねぇ、パチェ?」


「同感…。」


「貴様達は誰に喧嘩を売ったのか、まだ理解できてないようだね…。
盗人には、それ相応の椅子しか用意してないわ…。
帰って伝えなさい……。


「客人になりたくば、まずはそちらが先手を挙げた事に対する誠意と、
そちらから剣を納める事が条件…とね…。」







紀元前256年 冬

「レミィ、セレウコスから、使者が来たわよ。」


「あら、あれから剣を納める用意が出来たのかしら?」


「でも、不思議なのよね…。
彼らの使節団はこちらの守備兵力のざっと2倍の数がいるのよ…。」


「ずいぶんと大所帯な外交使節団だこと…。」


「これじゃあ、いつもの王宮の応接間にはお通しできないわ…。」


「仕方ないわ……。
屋外で会見といきましょうか……。」


紀元前256年冬 サラマナ近郊にて
セレウコス軍主力と会戦



「どうも、相手はただの話し合いじゃあ、満足しなさそうねぇ……。」


「そうみたい…
彼らは、剣の音で、話し合いをしたいみたいよ……。」


「これだから、野蛮な国はやぁねぇ……。
超大国が聞いて呆れるわ…。」


会戦初期は睨み合いだったが、
中途からセレウコス軍が進撃を開始。
高所を占拠しているパルティア軍はそれを弾幕で迎え撃つ
敵は……


「あははは!
あいつらは、剣で話し合いをしたかったんじゃないのかしらねぇ…?」


「あんな歩みじゃあ、いつまで経っても会見の席にはこれないわね…。」


「砂嵐も止んだし…
紅茶が冷めるまでにサッサと来て欲しいものだわ…。」





やがて丘陵は、セレウコス軍の屍で埋め尽くされようとしていた…


「ほんと、残念ねぇ…
結局、会見席には誰もたどり着けなかったみたい…。」


「これじゃあ、こちらから行ってあげる必要があるわね…。」


「そうね…。
行くわよ、私のかわいいあなた達!!」


斜面から下ってゆく重装騎兵隊(カタフラクト)の突撃によって、
戦闘の協奏曲は終わりを告げた……。




「一人、取り逃がしたみたい…。


「あら、それは好都合、外交官なんて、この場合1人いれば十分…。
これで、こちらの意志が、しっかりと伝わるでしょうね。」




その後、パルティア首都攻略の為のセレウコス軍別動部隊を、
レミリアは難なく破り、セレウコス軍の遠征は失敗に終わった……



「帝都の安全は確保したけど…。
これからどうしようかしら?」


「そうね、やられっぱなしっていうのは、私の性に合わないわ…。」


「叩き潰しにいこうかしら…。」


紀元前255年
パルティア軍はセレウコス朝シリアに対し、猛反撃にでた。


西にはレミリア自ら率いる本隊
南には咲夜率いる元バクトリア討伐軍がそれぞれ派遣された。



紀元前254年



紀元前252年



紀元前251年



紀元前250年





セレウコス朝シリア都市 カピサにて

「咲夜さん、この勢いでこの町もいただきですね!!」


「どうも、そうは問屋が卸さないみたいよ……。」


「え、どういう事ですか…。」


「私たちの軍隊がここまで破竹の快進撃を遂げてきたのは何故かしら?」


「や、やっぱり優勢な騎兵戦力ですか?」


「そうね、つまり私たちは野戦でこそ真価を発揮できるの…。
今回の城攻戦は……」


「でも、今までだって城攻戦は連戦連勝だったじゃないですか…?
今回だって……。」


「今回はちょっと事情が違うわ……。
相手にはヒュパスピスタイ(盾持ち隊)と
アルギュラスピデス(銀盾隊)がいるわ…。」


「そ、それって……。」


「そう、セレウコス朝シリア最強歩兵の面々ね。
野戦だったら、簡単に捻り潰せると思うけど、町に立て籠もられるとなると、
当然、狭い地域での歩兵対歩兵の戦いになるわ。」


「か、かなり厳しいような…。」


「そんなことはないわ。
むしろ無理ね。


「信用してくださってありがとうございます…。」


「あら、いつものあなた達の働きから考えたら、当然の帰結よ。
あなた達が彼らと戦ったら、水道の蛇口を捻るが如く……ね。」


「あははは…
で、でも、そうなると敵が痺れを切らすまで、包囲ですか?」


「そんな時間はお嬢様から頂いてないわよ。」


「で、ではどうするんですか?
スパイの数も足りませんし……。」


「城攻戦は、相手の意表を突くことが第一条件…。
頭の固い敵に勝機はない…。
まぁ、見てなさい。」



紀元前250 夏
カピサにて



「すごい砂嵐です…。
城壁にはアルギュラスピデスが並んでますよ、咲夜さん…。」


「でも、相手は城攻塔に気を取られて、守備兵力が分散してるわ…。
それに、まさかこんなに早く攻撃に出るとは思ってなかったでしょうし…。
まして、この砂嵐…
城壁からの弓矢は殆ど当たらないわ…。
日頃の行いがいいと、こういう事になるのね…さて中国、始めて頂戴。」


「はい、了解です。」


砂嵐の中、工兵隊は城壁に穴を開けるべく掘削作業を始めた


「あの〜、咲夜さん。
穴掘作業って、結構ハードな気がしてきたんですけど…。」


「そうかしら?
新しいダイエット方法だと考えればいいんじゃなくて?」


壁が崩落すると同時に、セレウコス軍の悲鳴が聞こえてきた


「あら、相手も存外マヌケみたいね…
敵の指揮官が城壁から落ちたみたいよ。
中国、お手柄ね。」


「ありがとうございます!」


「今日はあなたの夕食に一品追加しておくよう、言っておいてあげる。」


「やったー!
この調子でいつか、デザートが付くまでがんばります!!」




「咲夜さん!
突破口開きました!!!」


「騎兵隊!
抜刀!!
相手に反撃の機会を与えてはダメよ!!」

精鋭対精鋭の戦い vs ヒュパスピスタイ(剣)


「相手は手強いわ!
完全に切り崩す必要はないのよ!
いかにも、敗走したかのように路地に逃げ込みなさい!!」

敵は頭に血が上っているのか追撃してきました


「今よ…。
彼らをサボリ魔の死に神の所へ連れてってあげなさい…。」

突撃3秒前


「あいにくと、私は神を信じてないわ。
だからお祈りの言葉なんて、知らないのよね。
そのかわり、悪魔の犬としてあなた達に苦しまない死に方を提供させて頂くわ。」


「咲夜さん。
城壁にいた歩兵が、大挙してそちらに向かっています!」


「今日はサボタージュの死に神も、忙しくなりそうよね…。」

精鋭対精鋭 ラウンド2 vsアルギュラスピデス


「路地を利用して、相手を取り囲みなさい!
バラバラに来る歩兵なんて、蛍の妖怪を潰すより簡単!!」



かくして、カピサの町はパルティア軍によって占領された


「たまには、労働のなんたるかを、三途の川の死神に教えるのも、粋だと思わない?」


「咲夜さんから聞いた話ですと、それでも、さぼってそうですけどね……。」










紀元前250年 夏

斥候隊より報告です!!
咲夜さん大変ですよ〜!!」


「なに?
そんなに慌てて……。
私はこれから、時間を止めてお嬢様とのティータイムなのよ…。
あなたも、お茶でも飲んで、少しは落ち着いたらどうかしら?」


「で…ですけど。
あ…、すいません……わざわざお茶とお菓子まで…。

って!!
それどころじゃありませんよぅ〜!」


「そんな風に落ち着きがないから、
あなたはお嬢様から見たら門番で中国扱いなのよ…。

って……わかったから、腕にしがみつくのはやめてもらえないかしら…。」


「う〜。
話を聞いてくださ〜い。」


「で?
一体全体なんなのかしら?


「と、討伐隊がセレウコスで、
もう、すぐそこまで象なんですよぅ!!
し、しかも派遣がこちらに迫ってきてるんです。


「あーはいはい。
どういう自体かは、大体わかったけど、
もうすこし落ち着いて話しなさい…。

セレウコス軍が象を連れて反撃してきたのね…。」


「そうなんですよぅ〜。
今回は対象用 リーサルウェポン
「ペルタスタイ(散兵隊)」を連れてきてないじゃないですか!
どうしましょう〜!!
咲夜さーん!


「いいわ、私が行って来る。
騎兵隊だけでね…。」


「え??
でも、象は騎兵に対してすごく強いんじゃ……。
だ、大丈夫なんですか?」


「安心なさい、ティータイム前の運動は健康にいいそうだから。
ちょっと、散歩に行ってくるわ…。」


「わ、私もお供します!!」


「今回歩兵隊は、お荷物なだけよ。
来るなら、あなただけにして頂戴ね…。」




「咲夜さん、相手は1.5倍ですよぅ〜。
象もいますし、帰りましょうよぅ〜。」


「ここまで来て、あなたは何を言ってるの?」


「こわいものは、怖いんですよ〜。」


「だめよ。
お嬢様は、私たちに後退許可を出された訳ではないわ。
なら、戦うのが道理。
まぁ、見てなさい。」




「さて、いよいよね…。
総員!散開し、弾幕を張りなさい!
目標、敵指揮官、すなわち象群!!

いいこと、敵の歩兵隊に捕まってはダメよ!」


「ですが、咲夜さん相手も象の櫓から撃ち返してきてますよ?」


「このさい、若干の損害はやむを得ないわ。
用は最後に私達が立っていればいいの…。
それで勝敗は決するわ。」


長時間の弾幕合戦により
パルティア軍に僅かな損害が出始めた頃…

「あ!
咲夜さん、アレ!!」


「さて…
そろそろかしら……。」


象さん、濃密な弾幕に堪えきれず、暴れ始めるの図


「あー、相手の歩兵隊が、味方の象にグチャグチャにされてます〜……。」


「象の側にファランクスを置いておくから…
ま、いい気味だけど…。」


「さて…
敵が浮き足立ってる今がチャンス!!
一気に仕留めるわよ!!」



象によって混乱した敵はもはや為す術を知らず
その後の戦闘はあっさりと決着がついた



「象は元来臆病なのよ……。
それに、自分が傷つくことをとても嫌うの。」


「案外ナイーブなんですね…。」


「その通り……。
…さてと、食前の運動も済んだことだし…。
お嬢様の元に行かなくちゃ。
きっと、翼をパタパタさせながらお待ちでしょうから……。」



紀元前249年



紀元前248年


「ここまで順調だと、なんだか相手に悪いみたいね。」


「でも、取れる駒を取らないようでは、チェスに勝てないわ。」


「そうね、頂けるんだったら、頂くのが筋よね…。」


「そうそう、レミィ。
懲りずにセレウコス朝シリアの外交官様がお見えよ……。」


「あら、今度はどんな冗談を聞かせてくれるのかしらね…?」





「これはまた……。
とびきりのジョークだわ…」


「独立を放棄して、保護国になりません?」


「あははははは!
ほんと、ご冗談が得意だこと…。」


「セレウコス朝シリアの方々は……。」


「返答はどうしようかしら……。
今回は口頭ではなく、文章にして渡そうかと思ってた所なんだけど…」


「そうねぇ……。
それじゃあ、これでどうかしら?」




パルティアの永遠に紅い幼き女王より、
元ペルシアとメデイアに、もはやなけなしとなったシリアとバビロニアの
偉大なる支配者セレウコス帝国の王に挨拶申し上げる。

貴国の外交官の極めて格式高い御冗談は
我が国に大変有意義な時間を提供して下さった故に
わたくしは礼を申さねばなりません。

次回はセレウキアに、わたくし自らが出向き、
セレウコス帝国の高度なジョークを
拝聴賜りたく存じ上げます。

ひいては、各都市に次ぎのお触れを出して頂きたく存じ上げます。

其の一 セレウコス帝国内におけるパルティア王女一行の自由交通権
其の二 パルティア王女の一行に対し都市は門を開く旨
其の三 パルティア王女の一行に対して、各都市は衣食住を保障する旨

以上のお触れによって、
パルティアとバクトリアとペルシアとメデイアと、スキティアの支配者たるわたくしこと
パルティアの永遠に紅い幼き女王レミリアスカーレットは、セレウコス帝国の王のご尊顔を
拝見することが叶うでありましょう。
どうか平に御容赦賜りたく存じます。

パルティア女王 レミリア・スカーレット

「レミィは下手にでるのが上手ね……。」


「あら、目下の者には、私はいつだって寛大で慈悲深いわよ。」











後日、パルティア王移動陣地のテントにて

「レミィ、ちょっと、紹介したい娘がいるわ…。
会ってみない?」


「ええ、いいわ。
丁度退屈してたところだし。」


「わかったわ…
さ、入ってきなさい…。」


大図書館の司書 小悪魔
「あ…失礼します。」


「あら………。
確かその娘は……。」


「そう…。
図書館司書をやってもらってた小悪魔の子よ…。
この子をね…こっちの世界に連れてきてみて、
試しに帝都の防衛任務に就いてもらったのよ…。
ま、後は報告書を見て頂戴……。」




……へぇ…。
僅かなカタフラクトを率いて、セレウコスの指揮官を3部隊も仕留めたの…?」


「あ…は、はい。」


「なかなか、大したものだと思わない?」


「そうね、これは賞賛に値するわ。
……いいわ。
あなたをサージェントクラスから、将軍のクラスへと格上げしてあげる…。」


「え…
でも……。」


「あら不服かしら?」


「そ、そんなことはございません!」


「いいのよ、受けておきなさい…。
レミィの気が変わらない内にね………。

そもそも、その為にあなたを呼んだのだから…。」


「パチュリー様…。」


「今の私には、手足のように動いてくれる貴重な駒が必要なのよ…。

確かに、私のメイド長はとびきり優秀……。
だけど、一人では、出来ることはやはり限られてくるわ…。」


「という訳…。」


「あ、ありがとうございます!!」


「では、一旦下がってなさい。
私はレミィと話しがあるから…。」


「はい。
では失礼します。」








「パチェの司書は、いい娘ね…。
教育がよく行き届いているわ。」


「でも、ちょっと真面目すぎるのがたまにキズかしらね…。
……………。

さてレミィ、今後のことでちょっと話があるのよ…。」


「それは人手不足のこと?」


「ええ……。
今後、確実に軍団は、拡充していくわ。
当然支配地域もね…。

そうなると、あの娘だけでは少々不安…。
もう一人位…。」


「………。

それは、フランをこっちに連れてくるってこと?」


「ええ…。」


「あの娘を、表に出したりして大丈夫かしらねぇ…。」


「きっと、周りは大丈夫じゃないわ…。」


「そうね…。

でも、きっと退屈しているでしょうね…。
あの娘の事だから…。」


「私も咲夜も、こっちだしね…。」


「むしろ、お守り役がいない、今の紅魔館の方が危険かしらね……。」


「そうね…。

それに、あの娘の戦闘力は超一級……。
ナチスの虎戦車U型よりも、破壊力があるわ…。
でも、問題は虎戦車と同じで、どういう風に戦場まで、引っ張って行くか…
かしら。」


「まぁ、仕方ないわ…。
背に腹と、館は替えられないわ…。
フランをこっちに呼びましょう。」







悪魔の妹 フランドール・スカーレット
「へぇ〜。
これが、人間の世界?

あ、お姉様!
あれ、何、なに?」


「こうなるとは、思ってたけどね………。
フラン…日傘から出たら、溶けるわよ…。」


「大丈夫よ!
身体の83%までだったら、灰になってもパチェが直してくれるわ!」


「あまり、厄介ごとを増やさないで頂戴ね…。
フラン…。」


「ねぇ、お姉様。
いつになったら、人間と遊べるの?」


「それは、もう少し経ったら、ね…。
でも、じきに、沢山遊べるわ。

そう、じきにね……。」











紀元前246年
パルティア軍移動陣地 テント内にて


「さて、久しく全員に集まってもらったのは他でもないわ。
フランと、小悪魔も増えたことだし、まずは顔合わせね…。

そして、こっちが本題……。
このたび、私たちの同盟国同士が戦争を始めたわ…。
ひいては、どちらの味方をするか……。
決定を下さねばならないわ…。」


「ふーん。
アンティゴノス朝マセドニアと、プトレマイオス朝エジプトねぇ…。」


「あの…マセドニアと組んでいて、損はない気がしますが…。」


「何故かしら?」


「えーと、その、エジプトとは、結局じきに闘うことになるんですよね?
でしたら、遠くに味方を作って、近くの敵を討ったほうがいいような気が…。」


「マセドニアと、エジプトはどっちが強いのでしょうか?」


「どっこい、というところかしら…。」


「じゃあ、どっちを潰しても問題ナシね!
さっさと、壊しにいこ!」


「し、しかしですね、妹様…。
我が軍に数カ国を相手に出来る戦力はないのですよ…。」


「お嬢様、よろしいでしょうか?」


「何かしら咲夜?」


「お嬢様は、最終的にエジプトを征服なさる御積りですか?」


「そうね…。
あそこは、大穀倉地帯だもの…。
取っておいて損はないわね…。」


「で、あるなら、プトレマイオス朝エジプトと
手を組んだ方がよろしいのではありませんか?」


「案外そうかもしれないわね…。」


「そ、そうでしょうか?」


「どのみち、現在の進軍速度では、
シリア地方に着くのにそんなに時間は掛からないでしょう…。

このまま行くと、メデイア地方からは、レミィの本隊、
バビロニアからは咲夜の分隊が、シリアで合流するはず…。」


そして、シリアに着いたら、プトレマイオス朝エジプトと国境を接することになる…。
その際、同盟を
結んでいたら、どうなるかしら?」


「相手は同盟関係にあるのですから、攻めてはこないですよね…。」


「その答えでは、『中国』からは卒業できないわよ……。

きっと、薄汚いプトレマイオスは、補給線の延びきった、
私のかわいい手駒達に、攻撃を仕掛けてくるわよ……。」


「そうですわね…。
相手国の、主力軍を粉砕できるまたとないチャンスです…。

同盟なんて、漂白剤で白紙にされてしまいますわ。」


「そ、そうなんですか?」


「国際社会というのは、そういう物よ……。
弱まった、と判断されれば、即座に潰される…。」


「出る杭は、讃われるだったかしら?」


「今は、勢いの良い私たちが、讃われると同時に
誰からも、狙われる存在よ……。

私たちは永遠に強者で、自衛戦争を行う者でなければならないの…。」


「でしたら、『攻撃された』という大義名分の為にも、
是非、今はプトレマイオス朝エジプトとの同盟を
維持していきませんと…。」


「どうせ、やられるなら、相手からやらせれば良いのよ……。

やつらは、そうして墓穴を掘るわ。」


「そうと決まったら、即実行ね!

あははは、今から楽しみねぇ〜。」









紀元前246年

パルティアはマセドニアと同盟を解消

プトレマイオス朝エジプトとの同盟を選んだ


「さてと、全軍の再編ね……。
レミィはフランと共に、そのまま、メデイア地方からシリアへ進軍。」


「まかせて!」


「咲夜と中国は、南方から西方へ移動し、ペルシア地域とバビロニア地方とを制圧後、
シリア地方へ…」


「了解です!」


「承知致しましたわ。」


「私と小悪魔は、帝都防衛任務と、インド地方の平定よ…。」


「え、インドですか?」


「そう、近頃の反乱勢力の動向も気になるし、ここらで、一回叩いておかないと…。
いつまでも後背を気にしたままでは、安心と安全を買えないわ…。

それじゃあ、レミィ、ちょっとの間、お暇させてもらうわね…。」


「本当は、フランもいるから、本隊に残って欲しいんだけどねぇ……。」


「仕方ないわ…。
内政を放ったらかしには、出来ないのよ…。

人民あっての国家、食料あっての紅魔館でしょ?」


「そうね、私とフランの食事が、餓えてガリガリじゃあ、
味気ない食卓になってしまうわ…。」









再編成を終えた紅い悪魔の軍勢は、いよいよ進軍を開始した。

「さて、用意は整ったわ…。
私のかわいい手駒達に通達ね…。

牙を研いでおきなさい、と…。」


「畏まりましたわ、お嬢様。」


「それじゃあ、狩りの時間ね!!」




紀元前247年



紀元前246年



紀元前245



紅い悪魔の破竹の快進撃は止まらない…

それは、セレウコス朝シリアという、偉大な帝国にも、
滅亡という名の終焉が迫っている事を教えているのだろうか?

















紅魔の軌跡







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